健康を守る基礎知識

  • HOME
  • 健康を守る基礎知識

第一回 人間は文明ほど進歩していない!

 先日、腎臓内科の先生からお話を聞く機会がありました。その先生のお話の中で印象に残った事がありました。腎臓だけではないが、人間の主要臓器は大動脈のすぐ近くにあり、主要臓器の細い血管に高い血圧がかかる構造になっている。このため、動脈硬化が起こりやすく、慢性腎臓病が起こる原因のひとつとなっているとお話しされていました。更に続けて、こうした体の構造から人間の体は血圧低下に対して命を守ることを主眼に設計されており、高血圧など想定外なのだと仰っていました。

 以前、糖尿病担当の先生に話を聞いたときにも、同様の話を聞いたことがあります。それは、人間の体にあるホルモンで血糖を上げる働きをするホルモンは多数あるが、血糖を下げる働きをするのはインスリンだけと言ってもよいとお話しされたことです。その先生も、人間の体は飢餓には強い構造で、飽食による高血糖は想定外なのだと仰っていました。

 また、自分も同様の経験があります。それは私が病院で循環器内科医師として勤務していた頃のこと。急性心筋梗塞の患者さまを何人も治療していた時思ったことです。急性心筋梗塞は、心臓に栄養や酸素を供給している冠動脈が動脈硬化などの原因により閉塞して、冠動脈から血液を供給されていた心臓の筋肉が死んでしまう病気です。血管の詰まる病気なので血液が固まらないように色々治療するのですが、意外にも体の方は急性心筋梗塞の際に、血液を固まりやすくしてしまうのです。脳梗塞などの他の血管が詰まる病気の時もそうなのですが、人間の体は生命の危機の際に血液を固まり易くして止血しようとするのです。それは、古来より人間の体における危機とは、怪我などで出血するケースが想定されており、長生きして血管が詰まる病気は想定外なのでしょう。以上のように、人間の体は原始時代の設計そのままで、現代社会での生活や長寿には向いていないのです。従って、我々は生活習慣を変え、薬剤の助けを借り、現代社会を生き抜きかないと長生きは出来ない宿命にあるのです。

(山内医院院長 山内康彦)